【デザートキッス】


「ぁ…ん、サニーさんっ」
鎖骨にキスされて思わず声を出してしまう。
サニーさんの唇はほんの少し上に上がって、
今度は首筋に舌を這わせる。
また、出そうになる声を唇を噛み締めてなんとか堪えると、
「我慢しなくていいんだよ…」と耳元で囁かれ、
顎を甘噛みされた時には声を抑えるということを忘れた。
顔がまた少し上がってきて、唇のすぐ下の僅かな窪みにくちづけられたから、
(あぁ、唇にキスされるんだ…)
って思った。
のに、次にくちづけられた場所は鼻の頭だった。
(あれっ?)
なんでだろうと思いつつも、キスはどんどん上に上がっていって、
最後に前髪を右手でかきあげ、生え際にゆっくりとくちづけると、
サニーさんの体は離れた。

「唇は?」
思わず聞いてしまった僕に
「ん?唇にもして欲しかったの?」
にやっと笑われてしまって、慌てる。
「い、いえ。そっそういう訳じゃないですけど…」

「じゃあ、イラナイ?」
と真顔で聞かれて、心臓がドキっとなる。
「え…っと、イラナイです」
してほしいようなしてほしくないようなよく分から感じないだったけど、
こう答えるのが普通だと思った。んだけど…
「そっかぁ…」
サニーさんが露骨に眉をよせ、悲しそうな顔をする。
(なんで、そんな悲しそうな顔するんですか…)
まるで僕が悪いことをしたみたいだ。
そう思ったら湧き上がった罪悪感のような感情を
胸に潜めつつ、部屋を出ようとする。
「しつれぃし」まで言ったところで、「大河くん」と呼びとめられ、
振り返ったら、腕を掴まれ強引に引き寄せられた。
「イタダキマス」
そう言割れた途端、キスされた。
唇を唇で塞がれて、息できないと思ったら、
口の中に舌まで入ってきた!!
唇と腕が離れた瞬間、へなへなと床に座り込む僕に−
サニーさんは胸の前で両手を合わせて、
「ゴチソウサマデシタ」
と言って、何事もなかったかのようにスタスタと歩いて部屋を出て行った。


もう、心配して損した!!





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