【痴話喧嘩】

「…ぁん…っぅ……ひぁ」
途切れることなく声が溢れる。
誰がいつ入ってくるかもしれない支配人室で、
しかも、下半身を裸にされて机の上に座らされて、
こんなことをされて、消え入ってしまいたいほど恥ずかしい−

仕事で支配人室に入った途端襲われて、
なのに体は首に縋りついていないと
後ろに倒れこみそうなほど感じていて…

「足…開いて?」
僕が首に抱きつくようにしているせいで、
サニーさんは背中を丸めている。
普段はずっと上にあるサニーさんの顔が僕の顔の隣にあって、
定期的に熱い息が耳にかかる。
その度に、背中が小さく震えた。
「少しだけでいいから…」
言われるままに足を開くと
「いい子だ」
囁くように言われ、また震えが走る。
足を広げた分だけ、サニーさんが体を寄せてきた。
「あっ」
内腿と内腿の間に机が覗く。
デスクシートの下に書類が挟まっているのが見える。
(あぁ、こんな場所で…)
という気持ちが今さらながらに湧き上がる。
その間にもサニーさんの手は僕の前を忙しなく弄る。
サニーさんの体に視界を遮られて、自分の体がどうなっているかは見えないけれど、
僕のそこは雫をたらたらと流し、もう限界が近いのを感じる。
「もぅ…駄目ですっ」
「いいよ。いってごらん」
あくまでも余裕に満ちて優しい声。
「ここは…ぁん……駄目で、す」
「どうして?」
「だってぇ、机がぁ…」
苦しさに涙目になる。
「あぁ、机を汚すと心配しているの?」
必死に何度も頷く。
「それにぃ、サニーさんの服に…つくぅ、ん」
この距離だと、サニーさんの服に自分のものを飛ばしてしまうに違いなかった。
「良かったのに。その程度のこと」
そう言ってサニーさんは微笑み、僕の足と背中に腕を回して体を持ち上げる。
僕は女の子のように抱かれて、ソファに寝かされる。

「羞恥心というのかな?恥らう君も素敵だけど…
気にしてばかりでは気持ちよくなれないよ」
そう言い、僕のものを口に咥えた。
「ひゃぁ…んんっ」
先ほどまで手によって与えられていたやわやわとした感じとは
比べ物にならない強い刺激に背をしならせる。
「もう、いってしまうの?」
からかうような口調で言われ、恥ずかしさに顔が真っ赤になるのが分かる。
根本まで口の中に含まれ優しく吸われたかと思うと、先端の窪みに舌を入れられる。
巧みな舌技の前に僕はあまりにもたやすく達しそうになる。
「も…もうぅ、いきそっ。離して、くださっ…」
僕の必死の訴えにもかかわらず、サニーさんは更に深く僕を飲み込み、
僕はサニーさんの口の中で達してしまった。



はっきりとしていく意識の中でまずこみ上げてきたのは怒りだった。
「なんであんなことしたんですか?」
「だって、服が汚れるって嫌がったじゃないか」
「で、でも…飲んだら汚いです!」
「君のもので汚いものなんてないよ」
それにおいしいしねと付け加えられて、もう死ぬほど恥ずかしい。
「もう、いいです」
と出来る限り厳しい口調で言って、ソファを下り、
机の周りに散らばった服を身につける。
「おーい」
無視する。
「おーい」
扉の前まですたすたと歩いていく。
「ここに来た用件は?」
「は?」
「いや、だから…用があったから来たんでしょ?」
にっこりと笑いながら言われて……
「ああっ!」
今さらながらに支配人室に来た本当の用件を思い出す。
「ハンコ…」
きょろきょろと見回すと、サニーさんは「あぁ、これ?」と言いながら、
机の上に置かれてあった書類をひらひらと揺らす。
「あ、それです」
「ちょっと座って待っていて…」
そう言われて、仕方なくソファに座る。
散々いやらしいことをされたソファだ。
なんとなくさっきのことを思いだしてしまう。
(なんで、サニーさんはあんなに上手いんだろう…)
長い指とか声とか唇も−全ての虜になってしまいそうで恐い。
「大河君?」
「はいっ」
急に声を掛けられて、声が奇妙に裏返った。
「仕事を忘れるほど気持ちよかった?」
真面目な話だと思ったのに、そんなことを言われて、怒りに我を忘れた。
「違います!それより、もう部屋に入った途端襲うとかやめて下さい!!」
「うーん。わかったよ」
サニーさんは神妙な顔をして頷き、
「じゃあ、これからは仕事の話が終わってからイイコトをしよう」
無邪気な笑顔でそう言われて、もう怒る気もなくした。


なんでこんな人好きになっちゃったんだろう?




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